🌸ソーシャル・ビューと点字デジタルアート🌸


ソーシャル・ビューとは

ソーシャル・ビュー(Social Viewing)は、一般的には、見える人と見えない人が一緒に美術作品やスポーツ観戦などの対象を鑑賞し、それぞれの知覚や経験を共有することで、新たな鑑賞体験や相互理解を深める試みを指します。

もともとは、視覚障害のある方が美術鑑賞をする際に、晴眼者が見た情報を言葉で伝えたり、触覚などを活用して作品を理解したりする活動から発展しました。しかし、ソーシャル・ビューの本質は単なる情報伝達ではなく、対話を通じてそれぞれの感じ方や解釈を共有し、新たな視点や気づきを得ることにあります。

近年では、美術鑑賞に限らず、スポーツ観戦など、様々な分野でソーシャル・ビューの考え方が取り入れられています。例えば、スポーツ観戦においては、視覚的な情報を言葉や触覚で伝えるだけでなく、音や振動、感情なども共有することで、視覚に障害のある方も臨場感を持って楽しむ試みが行われています。


ソーシャル・ビューのポイントは、

  • 一方的な説明ではなく、双方向の対話を重視する
  • 見えることだけが価値ではないという認識を持つ
  • それぞれの知覚や経験の違いを尊重し、共有する
  • 新たな発見や解釈を生み出す

ソーシャル・ビューは、単に情報格差を埋めるだけでなく、多様な人々がお互いを理解し、共に楽しむための有効な手段として注目されています。


点字デジタルアートとソーシャル・ビューの共通点

  1. インクルーシブな視点: どちらも、障害の有無に関わらず、誰もがアートを体験し、共有できる社会を目指すという点で共通しています。点字デジタルアートは視覚障害者の制作への参加を促し、ソーシャル・ビューは異なる知覚を持つ人々との共有体験を重視します。
  2. コミュニケーションの促進: 点字デジタルアートの制作過程における視覚障害者と専門家の対話、そしてソーシャル・ビューにおける参加者同士の対話は、相互理解を深め、新たなコミュニケーションの形を生み出します。
  3. 新たな表現と体験の創出: 点字デジタルアートは、AI技術と専門家の協働によって、視覚障害者にとって新たな表現の可能性を切り開きます。ソーシャル・ビューは、異なる知覚の共有によって、参加者双方にとって新たな鑑賞体験をもたらします。
  4. 多様な感覚の活用: 点字デジタルアートは、視覚、触覚、聴覚を組み合わせた多感覚的な表現を目指します。ソーシャル・ビューも、見えること以外の感覚や経験を重視し、共有することを奨励します。

点字デジタルアートとソーシャル・ビューの相違点

  1. 主体の違い: 点字デジタルアートは、視覚障害者が主体的に「制作」に関わることに重点を置いています。一方、ソーシャル・ビューは、既存の作品を共に「鑑賞」し、経験を共有することに重点があります。
  2. 目的の違い: 点字デジタルアートの主な目的は、視覚障害者の新たな表現手法を確立し、芸術活動への参加を促進することです。ソーシャル・ビューの主な目的は、異なる知覚を持つ人々が共にアートを体験することで、相互理解を深め、新たな鑑賞のあり方を提示することです。
  3. 制作プロセス: 点字デジタルアートは、視覚障害者の意図をAIと専門家が具現化するという独自の制作プロセスを持ちます。ソーシャル・ビューは、特定の制作プロセスを伴わず、対話を中心とした鑑賞体験です。
  4. アウトプットの形式: 点字デジタルアートは、点字、画像、音声といった具体的な作品として出力されます。ソーシャル・ビューは、体験そのものや、そこから得られる気づきや関係性が主なアウトプットとなります。

双方が受け入れるべき課題

点字デジタルアートが受け入れるべき課題:

  1. 芸術性の確立と評価: 新しい表現手法であるため、その芸術的な価値や評価を確立していく必要があります。多様な鑑賞者からの意見を取り入れ、作品の質を高める努力が必要です。
  2. 視覚障害者の主体性の維持: AIや専門家のサポートが強くなる中で、視覚障害者自身の意図や感性が作品にしっかりと反映されるように、制作プロセスを常に検証し、改善していく必要があります。
  3. アクセシビリティの継続的な向上: 視覚障害者にとって使いやすいインターフェースの開発はもちろん、多様な障害を持つ人々が制作に関われるような技術開発も視野に入れる必要があります。
  4. 倫理的な課題への配慮: AIの利用における著作権やオリジナリティの問題、また、視覚障害者のプライバシー保護など、倫理的な課題にも十分配慮する必要があります。

ソーシャル・ビューが受け入れるべき課題:

  1. 質の高い対話の促進: 参加者間の建設的で深い対話を促すためのファシリテーション技術の向上や、対話の質を高めるための工夫が必要です。
  2. 多様なニーズへの対応: 視覚障害の程度や経験、晴眼者の美術知識など、参加者の多様なニーズに対応できるような柔軟なプログラム設計が求められます。
  3. 作品理解の深化: 単なる情報の伝達に留まらず、参加者それぞれが作品の本質に触れ、深い理解を得られるような鑑賞体験をデザインする必要があります。
  4. 継続的な活動と普及: 一過性のイベントで終わらせず、継続的にソーシャル・ビューの機会を提供し、その意義や価値を社会に広く普及していく必要があります。

点字デジタルアートとソーシャル・ビューの連携の可能性

点字デジタルアートで制作された作品は、ソーシャル・ビューの格好の素材となり得ます。制作に関わった視覚障害者自身が、その意図や制作過程をソーシャル・ビューの参加者に語ることで、より深い鑑賞体験を提供できるでしょう。また、点字や音声による作品解説は、ソーシャル・ビューにおける情報共有の重要な要素となります。

逆に、ソーシャル・ビューの参加者からのフィードバックは、点字デジタルアートの制作者にとって、作品の新たな可能性や改善点を発見する貴重な機会となるでしょう。

姫路という地域において、点字デジタルアートとソーシャル・ビューが連携することで、地域文化をテーマにした新しいアート体験を創出し、多様な人々が共に文化に触れる機会を増やすことができると考えます。


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